プロフィール

コーロ・カロス

1981年創立の混声合唱団。
「カロス」とはギリシャ語で「美」を意味し、音楽監督・常任指揮者の栗山文昭により命名された。
団員は約40名。大学生から還暦過ぎの世代までと幅広いが、20代、30代が団員の約6割である。
創立当時より同時代の作曲家への委嘱活動を積極的に行なっている。
演奏はルネサンスから現代音楽までジャンルを問わず、合唱の様々な可能性を示し続け、
特に演劇的表現を伴った合唱劇・合唱オペラでは、音楽や演劇といったジャンルを超えて高い評価を得ている。
また、「栗友会」の一員として年に数回、新日本フィルハーモニー交響楽団をはじめとするオーケストラとの共演を重ねている。

トロサ国際合唱コンクール・ヨーロピアングランプリ合唱コンクールでグランプリ受賞。
フランス・中国での海外公演、国内各地での公演を行う。

近年のカロスの単独公演は2014年公演でヘンデル「メサイア」全曲演奏、2016年公演で合唱オペラ「そして旅に出たーモノガタリとコエカラダと」初演、2019年公演で作曲家 新実徳英氏に委嘱した新作、混声合唱とピアノのための「さまよふ魂のうたー兵士たちに捧ぐ」他を演奏し、好評を博した。

音楽監督・指揮 栗山文昭

1942年島根県に生れる。合唱指揮を田中信昭、高階正光に師事。
2002年第20回中島健蔵音楽賞受賞。
二期会合唱団、東京混声合唱団で研鑽を積み、現在12の合唱団を有する「栗友会」(りつゆうかい)の音楽監督として、NHK 交響楽団、新日本フィルハー モニー交響楽団をはじめ多数のオーケストラでコーラス・マスターを務める。
また、21世紀の合唱を考える会 合唱人集団「音楽樹」の芸術顧問として「Tokyo Cantat」などの企画に携わっている。

スペイン・トロサ国際合唱コンクール(1994)、イタリア・アレッツォでのヨーロピアングランプリ合唱コンクール(1995)でコーロ・カロスを指揮し、東洋に初めてのグランプリをもたらした。

他にもスペイン、トロサ合唱コンクール 審査員(1998年)、ノルウェー・オスロ Grex Vocalis客演指揮(2005年、日本の合唱曲を演奏)、イタリア・ボローニャ 第4回マリエレ・ヴェントレ国際合唱指揮者コンクール 審査員(2007年)など世界各国の国際合唱フェスティバルや文化交流事業での招待演奏を行い、日本の合唱の実力を世界に知らしめ、また日本の現代作曲家の作品を紹介する役割を担って活動を続けている。
現在、武蔵野音楽大学特任教授、島根県芸術文化センター「グラントワ」いわみ芸術劇場芸術監督。

ヴォイストレーナー 横尾佳子

東京芸術大学、ミュンヘン国立音楽大学大学院修了。
戸田敏子、加藤綾子、エルンスト・ヘフリガー、白井光子の各氏に師事。
ドイツ滞在中はミュンヘン音大声楽講師を務めるかたわら、コンサート活動、バイロイト音楽祭祝祭合唱団員として2シーズン出演。
帰国後はソリストとして活動するほか、より豊かな合唱音楽のための声作りのコーチとして、またドイツ語作品の発音、言葉の指導など、幅広い活動をしている。

指揮者 横山琢哉

1968年北海道生まれ。ピアノを中山ヒサ子氏に師事。
1991年、慶應義塾大学文学部卒業。同大学在学中よりコーロ・カロスに入団し、経験を積み現在に至る。
現在、同団とTokyo male choir KuuKaiで団内指揮者、女声合唱団木声会(仙台市)で指揮者、宇都宮大学混声合唱団、うつのみやレディーシンガーズ晶<AKIRA>でアンサンブル・トレーナーを務める。
21世紀の合唱を考える会 合唱人集団「音楽樹」メンバー。

受賞歴

  • 1990年, 93年, 94年/全日本合唱コンクールで金賞受賞。
  • 1994年/トロサ国際合唱コンクール(スペイン)
    フォルクローレ部門、ポリフォニー部門でそれぞれ1位、聴衆賞およびグランプリ受賞。
  • 1995年/ヨーロピアングランプリ合唱コンクール(イタリア・アレッツォ)でグランプリ受賞。

委嘱作品

  • 1986 「火の鳥〈ヤマト編〉」混声合唱のための8つの断章 曲:青島広志
  • 1986~87 「戻ってきた歌」1、2 曲:青島広志
  • 1988 「曲がりかどの歌」─麗しの1960年代─ 曲:青島広志
  • 1989 「角を曲がった歌」 曲:青島広志
  • 1990 オペラ「子供と魔法」合唱版 曲:M.ラヴェル 編:青島広志
  • 1994 「君の受難曲」オラトリオ 作:佐藤信 曲:林光
  • 1995 「道成寺縁起」無伴奏混声合唱のための 曲:鈴木輝昭
  • 1997 「ヴィヨン・笑う中世」 作:加藤直 曲:林光
  • 1999 「ニュアンス」 曲:藤家溪子
  • 2002 「冬のオペラ・大正25年の」 作:加藤直 曲:林光
  • 2004 「情燐戯画」 詩:萩原朔太郎 作:鈴木輝昭
  • 2011 「アシタノキョウカ――泉鏡花に歌う」 作:加藤直 曲:林光
  • 2016 「そして旅にでた――モノガタリとコエカラダと」 作:加藤直 曲:寺嶋陸也
  • 2019 混声合唱とピアノのための「さまよふ魂のうた ー兵士たちに捧ぐ『昭和万葉集秀歌』【1】戦争と人間 より」 曲:新実徳英

コラム

カロスの演奏会のプログラムはとても特徴的です。もちろん、普通(?)の合唱の演奏会もやります。ですが、カロスのもう一つの魅力は、動きを伴ったステージ。

シアターピース(合唱劇、音楽劇)ということばを聞いたことがありますか?合唱に、演劇的な表現を加えた、新しいタイプのパフォーマンスです。最初に始めたのは作曲家の柴田南雄。「追分節考」という作品でした。ただ、歌い手が客席を歩き回る、というシンプルなものでしたが、聴く人にあたかも山の中にいるような、不思議な感動を生み出しました。

これに次第に、芝居的要素も加わるようになりました。特に、作曲家の林光は、積極的に作品を生み出しつづけています。林先生の作品は、音楽劇とか合唱劇というように、「劇」という言葉を使った方が、正しいような気がします。

でも、ミュージカルやオペラとは違います。合唱が主人公で、みんなでストーリーを進めていくという、ちょっと独特な世界です。でも、物語というものは1人だけで作られていくものではなくて、たくさんの人が1つの物語を紡いでいく、それが本来の姿かも知れません。